特定技能ビザ申請から取得までの流れ、取得条件や注意点を解説

2019年4月に入管法が改正され、新しい在留区分である「特定技能ビザ」が新設されました。従来、日本で働くことができるのは高度で専門的な技能を持った外国人のみでしたが、今回の特定技能ビザの新設により、従来より幅広い業務において外国人の労働が可能になります。

※当コラム内では、ビザ=在留資格という意味合いで内容を進めていきますことご了承ください。

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労働力の減少が深刻な問題にありつつある日本において、同ビザの新設により労働力の確保が容易になるのではないかと期待されています。外務省のホームページにも、特定技能ビザに関する資料が日本語のみならず英語版やベトナム語版で掲載されるなど、特定技能人材の受け入れは今後益々活発化していくことが予想されます。こちらの記事では、在留資格「特定技能」取得の流れや条件、取得に際して注意点などを紹介してまいります。

在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」

2019年4月に在留資格「特定技能」を追加し、高度専門職/技術・人文知識・国際業務などを含め、現在29種類の在留資格が存在しています。

特定技能を含めた、在留資格一覧については、出入国在留管理庁の在留資格一覧表(令和元年11月現在) を参照ください。

2019年の入管法改正により「特定技能」が新設され、一定の技術を要しますが、産業・サービスの現場で働くことが可能になりました。但し、特定技能で就労が可能なのは14種の「特定産業分野」に限られています。

特定産業分野とは

在留資格「特定技能」において就労できる業種は「特定産業分野」と呼ばれる産業に限られており、どの産業分野が特定産業分野に該当するかは法務省令によって規定されています。

入管法(法律)ではなく法務省令によって定められていることから、特定産業分野にどのような産業が指定されるかは今後柔軟に見直されていくことが予想されます。

2019年10月現在、特定産業分野には14の業種が指定されており、その中にはこれまで一部例外を除いて外国人が就労できなかった外食、建設などの業種も含まれています。

特定産業分野に指定されるための要件は、「生産性向上や国内人材確保の取組を行った上で、なお、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」であるとされています。

つまり、人手不足に悩んでおり、かつ日本国内で人材を確保することが困難であると国が認めている産業が特定産業分野に認定されているのです。

受入業種と受入れ人数

2019年10月現在、特定産業分野には下記の産業が指定されており、各産業分野における向こう5年間の受け入れ見込み人数も併せて公表されています。現在特定技能認定されている14業種の合計受け入れ見込み人数は345,150人にのぼるとされています。

介護 60,000人
ビルクリーニング 37,000人
素形材産業 21,500人
産業機械製造業 5,250人
電気・電子情報関連産業 4,700人
建設業 40,000人
造船・舶用業 13,000人
自動車整備業 7,000人
航空業 2,200人
宿泊業 22,000人
農業 36,500人
漁業 9,000人
飲食料品製造業 34,000人
外食業 53,000人

特定技能ビザを利用して就労するためには特定技能分野における技能を所持していることを証明するための試験の他、日本語能力試験が課されることとなります。

従って、現在海外に在住している外国人の受け入れに加えて、日本で学校に通いながらアルバイトをしている外国人や、すでに技能実習生として日本で就労してる外国人がビザを特定技能ビザに切り替えることで継続して就労するケースなどが想定されています。

特定技能1号・2号

特定技能ビザには2つの種類があります。
それが、特定技能1号ビザと特定技能2号ビザです。

日本で就労を希望する外国人はまず特定技能1号ビザを取得することになります。
特定技能ビザ1号の在留期限は通算で5年となっており、他の就労資格を得ない限りは5年を超えて日本に留まることはできません。
特定技能ビザ1号で来日し就労した外国人が5年の在留期間を修了し、さらに試験に合格した場合、特定技能ビザ2号を取得することができます。

特定技能1号ビザには2019年10月現在14業種が指定されていますが、特定技能2号ビザに指定されているのは2職種のみであり、①建設業、②造船・舶用工業のみとなっています。
従って、特定技能ビザ1号を特定技能ビザ2号対象外の職種にて修了した外国人は1号ビザ満了後も2号ビザに切り替えることはできません。

特定技能ビザ1号では在留期限が通算5年と定められているのに対し、特定技能2号ビザは他の就労ビザと同様に要件さえ満たしていれば更新することが可能となっており、また更新の回数に制限もありません。

従って、特定技能2号ビザにて就労する外国人は、今後長きに渡って日本の産業を支えていく労働力となる可能性が高いということになります。
特定技能ビザ2号においては特定技能1号ビザでは認められていない、家族の帯同が認められているのも特徴です。

特定技能評価試験と日本語能力試験

特定技能ビザにて受け入れる外国人は日本にて即戦力となる人材である必要があります。従って、ビザを発給するか否かの判断の材料として特定技能評価試験と日本語能力試験(N4レベル相当)に合格していることが求められます。
但し、技能実習生から特定技能ビザに切り替えを行う場合に限っては当然上記の能力を有していると推定されるため試験は免除されます。

 

特定技能ビザで外国人を雇用できる企業・できない企業

ここまで、特定技能ビザの概要についてお伝えして参りました。労働力が不足しており日本での採用が難しい業種に限って外国人労働力を招き入れることを認める特定技能ビザ制度は日本における深刻な労働力不足に一石を投じられる可能性を秘めていると言えますが、日本企業が特定技能ビザを利用して外国人を雇用するためにはいくつか満たすべき条件があります。

特定技能所属機関

入管法上では、特定技能ビザで来日する外国人を雇用する日本の会社のことを「特定技能所属機関」という呼称で呼びます。

特定技能所属機関は、原則、業種別に設けられている協議会に加盟する義務があります

この協議会は特定技能ビザで働く外国人を保護する目的で設置されているものであり、そのメンバーには特定技能所属機関、分野所轄省庁(外食産業であれば農林水産省)、関係省庁(厚生労働省や法務省など)、業界団体、その他任意で参加する有識者が含まれています。
この協議会は、特定技能ビザ制度の制度趣旨や優良事例の周知、法令遵守の啓発や産業構造・経済情勢などの変化に関する情報の把握・分析、外国人の受け入れを適性かつ潤滑に行うために必要な情報・課題等の共有や協議といった役割を担っています。

受入れ機関(特定技能所属機関)自体が満たすべき基準

先述の通り特定技能所属機関は業種別に設けられた協議会への加盟義務がありますが、それに加えて特定技能所属機関として認められるための要件として以下の基準が設けられています。

・ 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
・ 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
・ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
・ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がない等)に該当しないこと
・ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
・ 中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績があり,かつ,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること(兼任可)等(*)
・ 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること(*)
・ 支援責任者等が欠格事由に該当しないこと(*) など
(注)上記のうち*を付した基準は,登録支援機関に支援を全部委託する場合には不要

引用:法務省「新たな外国人材受入れに関する政省令の骨子」
http://www.moj.go.jp/content/001288453.pdf


 受入れ機関が外国人を受け入れるための基準

①外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)が適切であること(例:報酬額が日本人と同等以上)
②受入れ機関自体が適切であること(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
③外国人を支援する体制があること(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
④外国人を支援する計画が適切であること(1号特定技能外国人に対する支援について

引用:公益財団法人 国際人材協力機構【在留資格「特定技能」とは 】
https://www.jitco.or.jp/ja/skill/?fbclid=IwAR1QCMmVfB_yWaEE2Fqv-wCaan-852aMqpXnqLPeC124NHLNgJuG-Ev8gdo#section_4


 特定技能所属機関の義務

①外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること(例:報酬を適切に支払う)
②外国人への支援を適切に実施すること
→ 支援については、登録支援機関に委託も可。登録支援機関に全部委託すれば上記③の基準を満たす。
③出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
(注)①〜③を怠ると外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受けることがあります。

引用:公益財団法人 国際人材協力機構【在留資格「特定技能」とは】
https://www.jitco.or.jp/ja/skill/?fbclid=IwAR1QCMmVfB_yWaEE2Fqv-wCaan-852aMqpXnqLPeC124NHLNgJuG-Ev8gdo#section_4


 登録支援機関へ委託可能

上記の通り、特定技能ビザを利用して海外から労働力を受け入れる際には外国人支援計画を策定し、多岐に渡る支援を行う必要があります。
入国前ガイダンスの提供や住宅の確保、日本語を学ぶための支援や行政手続や暮らし方と言った業務外の内容まで様々な支援を行う必要があり、ノウハウが無い企業にとってはかなりハードルの高い内容となっています。
そもそも特定技能ビザを利用して海外から労働者を招く産業は深刻な労働力不足に悩んでいる産業であり、各企業に支援を任せても人手が足りず十分な支援が行われない可能性が高いのが現状です。

そこで、外国人支援の委託先として存在しているのが「登録支援機関」です。もし特定技能所属機関が外国人支援業務を自前で行うことができる場合、登録支援機関を利用する必要はありません。外国人支援に回すマンパワーが不足している際にはその業務の一部または全部を登録支援機関に委託することができます。

登録支援期間は法務省に登録・認可を受けた機関のことであり、登録支援機関のリストは法務省ホームページに掲載されています。

【登録支援機関 一覧】http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00205.html

  

申請に必要な準備・資料

特定技能ビザ申請には以下の書類が必要になります。
全て揃えるだけでもかなりの時間と労力が必要になるので、前もって準備する必要があります。

尚、以下は法令によって変更となる可能性があるので申請の際は常に最新の情報を確認するようにしてください。 

引用: 法務省入国管理局「新たな外国人材の受入れについて」
https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190326006/20190326006-3.pdf?fbclid=IwAR1hppCkNQlgR_3k8x6H6bzNtRkJ61RZ2LWzvLV3tBYJq4sO3dhSHlm949Q


また、特定技能所属機関が法人か個人か、申請が特定技能1号か特定能2号かによっても、提出書類が変わってきます。
特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧・確認表は下記よりご確認ください。

直接雇用 特定技能所属機関が 特定技能所属機関が個人の場合
法人の場合 適用事業所の場合 適用事業所でない場合
特定技能1号 【PDF】 【EXCEL】 【PDF】 【EXCEL】 【PDF】 【EXCEL】
特定技能2号 【PDF】 【EXCEL】 【PDF】 【EXCEL】 【PDF】 【EXCEL】

〇 派遣雇用の場合(特定技能1号の農業分野・漁業分野のみ)→【PDF】【EXCEL】

上記に加えて、業種によっては監督官庁に申請する書類が必要となるケースがあります。
例えば、建設分野の特定技能所属機関は建設特定技能受入計画を作成し国土交通大臣による認定を受け、更にその計画を適正に実施していることについて国土交通省または適正就労監理機関によって確認を受ける必要があります。

  

申請・取得するためのステップ

こちらでは、特定技能ビザを申請する際に実際にどのようなステップが必要なのか紹介して参ります。

在留資格認定証明書を申請する

海外に住んでいる外国人が就職や留学あるいは家族と生活するために日本で長期滞在したい場合には、特定技能ビザに限らず、在留資格に応じて在留資格認定証明書の交付を日本の出入国在留管理庁に申請し、審査を受ける必要があります。
出入国在留管理庁より認定がおりた後に在留資格認定証明書が交付され、在留資格認定証明書が郵便にて返送されます。返送には在留資格申請時に提出した返信用封筒が用いられます。

在留資格認定証明書の発送

先述の通り、在留資格証明書の申請先は日本の出入国在留管理庁なので、外国人本人が行うのが難しいケースが多く代理人が申請を行うことになります。在留資格認定証明書は代理人に送付されますが、受け取ったら外国に居住している本人に再送付する必要があります。送付の際には紛失すると困るので、EMSやFedEx、DHLなどのなるべく確実に届けられる方法を利用するようにしましょう。

尚、在留資格認定証明書の有効期限は3ヶ月のみとなっており、必ず3ヶ月以内に入国することが必要となっています。

査証(ビザ)申請

在留資格認定証明書を受け取った外国人は、必要な写真や申請書類等を揃えた上で本国にある日本大使館や日本領事館に提出し、ビザ発給の申請を行います。
日本の在外公館におけるビザ申請に必要な書類は各国の在外公館のホームページに掲載されています。国によって要件が異なる可能性もあるので、必ず確認してから申請するようにしましょう。

ビザの申請から発給にかかる期間は国によっても異なりますが、早ければ数日から1週間程度で発給されますし、長ければ2週間ほどかかる場合もあります。
在留資格認定証明書の有効期限は原則3ヶ月と決まっており期限内に入国する必要があるため、余裕を持ってビザの申請を行う必要があります。

在留資格認定証明書を所持していても、外国人本人が上陸拒否事由に該当する場合や、大使館等で行う面接に際に疑義があった場合等においてはビザが発給されない可能性もあります。極めて少ないケースではありますが、注意が必要です。
ビザの許可が降りると、提出したパスポートにビザが貼付されます。

入国審査、入国

ビザが発給されたらいよいよ日本への入国です。
在留資格認定証明書は、上陸条件である「活動の非虚偽性」「在留資格該当性」「基準適合性」を証明する役目を果たし、出入国在留管理庁によって回収されます。上陸空港が成田国際空港・羽田空港、関西空港、中部セントレア空港である場合は空港にて在留カードが交付されます。交付の際の在留カードの居住地は「未定」のままとなっているため、入国後に居住地の市町村役場にて登録の手続を行う必要があります。

居住地の決定から14日以内に、入国時に在留カードが交付された場合は在留カードを、交付されずパスポートに「在留カード後日交付」と記載された場合はパスポートを持参し、住民登録申請の手続のために居住地の市町村役場に転入届を提出しに行く必要があります。
転入届提出の際に、在留カードの裏面に住所が記載されます。尚、こちらの手続を怠った場合在留資格の取り消し事由に該当するので注意が必要です。

  

特定技能ビザを申請・取得する際の注意点

特定技能ビザの要件については入国管理法や法務省令によって定められている通りですが、実際のビジネスは組織や環境によって大きく異なり複雑であるため、法律制定時には想定しないケースがあらわれる可能性も大いにあります。
不明瞭な点は個別に関係当局に相談し方法を模索して行く必要があるため注意が必要です。また、申請の方法や審査の方法は業種や管轄省庁によっても異なるため、留意するようにしましょう。

特定技能は比較的ビザ取得がしやすいとは言われているものの、受け入れる企業には支援体制の確立や法令遵守など様々な制約が課され、準備のためにある程度の工数を割く必要があります。

申請した後で条件に合致しないことが判明したり、再申請を行うことになってしまうと思いのほか多大な工数や時間を割いてしまうことになりかねません。
予め従事する予定の仕事が特定技能に該当するのか、事前の準備は万全か等のポイントをしっかり確認した上で申請するようにしましょう。
申請のうえでは、行政書士や弁護士を活用するのもオススメです。

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