特定技能「造船・舶用工業」|制度のポイントとおススメの人材会社を紹介 | 特定技能online

特定技能「造船・舶用工業」|制度のポイントを紹介

特定技能「造船・舶用工業」とは?

概要

特定技能の「造船・舶用工業」は、 2019年4月に出入国管理法(入管法)が改正され、ビザ制限の緩和がなされました。新しい在留資格「特定技能」の追加により、外国人特定技能人材の採用が造船・舶用工業でも可能となったのです。これにより、造船・舶用工業分野における外国人就労が可能となり、今後の労働力不足の緩和が期待されます。

特定技能「造船・舶用工業」の受け入れ人数

令和6年3月までの5年間で最大11,000人(13,000人より変更)を上限に外国人材を受入れる目標を定めていました。その後、新たに令和6年4月からの受入れ人数として36,000人が見込まれています。

「造船・舶用工業」の現状

人手不足の現状

造船・舶用工業が活発な瀬戸内海や九州などの地方圏では、少子高齢化・生産年齢人口減少が急激に進んでいることに加えて、若者の地方から都市部への流出により、日本人の若手就労者の確保に苦労している状況です。

有効求人倍率の推移

造船・舶用工業分野における主な職種の2017年度の有効求人倍率は、溶接(金属溶接・溶断工)2.5倍、塗装(塗装工)4.3倍、鉄工(鉄工、製缶工) 4.21倍、仕上げ(めっき工、金属研磨工)4.41倍、機械加工(数値制御金属工作機械工) 3.45倍、電気機器組立て(電気工事作業員) 2.89倍となっており、現状のままでは2023年には2万2000人の人手不足と算定されています。特定技能人材はそのうちの半分をカバーすることで、過剰な採用や治安の悪化を防ぎながら、人材不足の解消を目指すものです。

参考:法務省「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について

技能実習「造船・舶用工業」について

造船・舶用工業分野の外国人材活用は、技能実習生として2015年から始まっており、2019年末には延べ人数2813人、主に舶用の溶接職種に従事する人材として、中国、フィリピン、ベトナムからの労働者が多く集まりました。また舶用工業分野については390人の技能実習生採用を行っており、こちらも溶接分野に従事する外国人が大半です。

特定技能「造船・舶用工業」 受入れ可能な人材

技能実習が「人づくり」という要素で形成されているのに対し、特定技能は「人手不足の解消」に重きが置かれています。
そのため特定技能で受け入れる人材は、基本的に経験者です。
健康な18歳以上で、基本的な日本語が話せる、即戦力人材に限定されています。

条件は、
①18歳以上
技能実習2号を良好に修了しているもしくは技能試験と日本語試験に合格している

上記の条件を満たさない場合は人材の登録や受け入れができません。
また、留学生として退学・除籍処分を受けた過去があるほか、失踪者、難民、イラン・イスラム共和国のパスポートを持つ人材などは採用ができないと定められています。

在留資格「特定技能」を手に入れる方法としては4通り考えられます。

①留学生への資格取得支援

国内に留学している人材に国内試験を受けてもらう方法です。
留学しているため語学力の心配が少なく、また接点も多くなるでしょう。

②技能実習2号所持者に対する資格取得支援

また、現在すでに技能試験2号の在留資格を取得している場合、技能実習2号から在留資格を特定技能に移行させることができます。

例えば、すでに受け入れている技能実習生を引き続き特定技能人材へ移行する場合や、過去に受け入れていた技能実習生を再び呼び戻し、特定技能人材として受け入れるケースが考えられます。
地方出入国在留管理局への申請が必要になりますが、スムーズな移行が可能です。

③海外で技能評価試験・日本語試験を支援

更に、特定技能人材向けの資格取得試験を海外で行う事例が、さまざまな業種・分野において見られるようになりました。造船・舶用工業分野特定技能1号試験実施要領には、「技能試験は、受験者又は受験者が所属等する団体・機関・組織等の申請により、国内外で随時実施する。」とあり、海外での試験にも対応しています。

④短期来日での資格取得支援

日本国内で就業意欲のある外国人技能実習生を受け入れる場合は、国内で資格取得試験を受けてもらうことも考えられます。日程調整やパスポート、航空券の手配等で手間は比較的かかりますが、試験を経て特定技能人材に日本や職場を理解してもらいやすく、海外の現地試験よりも就業後のミスマッチは少なくなるでしょう。

特定技能「造船・舶用工業」の業種・業務

特定技能人材に任せることのできる業務の分野は以下のとおりです。

・溶接(手溶接、半自動溶接)
・塗装(金属塗装作業、噴霧塗装作業)
・鉄工(構造物鉄工作業)
・仕上げ(治工具仕上げ作業、金型仕上げ作業、機械組立仕上げ作業)
・機械加工(普通旋盤作業、数値制御旋盤作業、フライス盤作業、マシニングセンタ作業)
・電気機器組立て(回転電機組立て作業、変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業)

参考「 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について

また、受け入れは特定技能1号としてなので年数上限があり帯同も不可ですが、将来は特定技能2号の在留資格が想定されています。2号資格は年数上限がなく、国内で帯同も許されるため、特定技能人材を長期にわたり雇用できるようになります。

注意点

また、特定技能人材にこれらの資格と関係しない付属業務を任せること自体は可能です。通常、従事することとなる業務については、本来業務と関連性があると考えられるというのが法務省の見解であるためです。
基準としては、同じ造船・舶用工業の下で作業する日本人が普段から従事している関連業務(材料の調達や清掃作業など)は従事可能です。ただし、関連業務を主として従事させることはできません。

特定技能所属機関(受入れ企業)の要件

外国人人材を受け入れるための条件

① 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨ 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であ
るほか、派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

出入官庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf

以上の条件をクリアしたうえで、以下の条件にもクリアする必要があります。

(2)特定技能所属機関に対して特に課す条件
ア 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「造船・舶用工業分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
イ 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
ウ 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
エ 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、上記ア、イ及びウの条件を全て満たす登録支援機関に委託すること。
オ 特定技能所属機関は、特定技能外国人からの求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付すること。

法務省「造船・舶用工業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」https://www.moj.go.jp/isa/content/930004967.pdf

国土交通省が設置する「造船・舶用工業分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。

また、協議会に対して必要な協力を行い、指導、調査に対しても協力するよう、法務省の方針に明記されています。

さらに、受け入れ要件として、国土交通省からの「造船・舶用工業分野に係る事業を営む」企業であることの認定が必要になります

人材の雇用形態

雇用は直接雇用のみと定められています。派遣での受け入れはできません。

報酬

特定技能外国人の報酬額については、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められます。

転職

同業者内での転職も可能です。
ただし、特定技能生の転職が認められるのは、「同一の業務区分内、または試験等によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間」のみです。造船・舶用工業分野の特定技能のみで来日した場合は以外の他業種へ転職することはできず、アルバイトも不可能です。複数の特定技能資格を持つ場合は、在留資格の変更許可申請を出入国在留管理庁が管轄する施設に提出する必要があります。

特定技能「造船・舶用工業」の試験内容

特定技能「造船・舶用工業」の在留資格を得るためにはまず、造船・舶用工業の基礎知識を確認するための航空業技能評価試験と日本語能力試験に合格する必要があります。

造船・舶用工業技能評価試験

学科と実技に分かれており、言語は日本語です。

学科試験は、「クレーンが近づいてきたのでその場を離れた」「ヒュームは溶接欠陥ではない」(ふりがな付き)などで正誤を答える問題や、「溶接用保護面」「すみ肉溶接」などのワードとイラストを照らし合わせる正誤問題が例題として出されています。

詳しい試験内容はこちら。(実技試験の詳細は別紙1)
職種ごとの受験案内、試験詳細、受験申請等は以下のリンクをご確認ください。
溶接塗装鉄工
仕上げ機械加工電気機器組立て

日本語能力試験

また、日本語能力試験のN4に合格するには、日常会話レベルの日本語力が必要です。JLPTでは「基本的な語彙や漢字を使って書かれた身近な文章を読んで理解できる」「ややゆっくりと話される会話であれば内容がほぼ理解できる」難易度と定義しています。

学習用サンプルテキスト

学科試験のサンプルはClass NKのサイトより確認ができます。
溶接塗装鉄工
仕上げ機械加工電気機器組立て

試験申し込み

造船・舶用工業分野における試験申込みなどの試験情報はClassNKのHPにて確認ができます。
試験に申し込む場合は、受験者が受験日において満17歳以上で、在留資格を有する必要があります。

試験日程・開催地

造船・舶用工業分野の特定技能1号試験は、申請に基づき、申請者が希望する場所にClassNKの試験監督者を派遣して行います。試験日もClassNKと申請者との調整のうえ決められます。

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2019年に成立した在留資格「特定技能」により、日本国内に外国人人材の受け入れが始まりました。
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そもそも特定技能は日本人と同等条件での就業が前提。
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