【特定技能】バングラデシュ人を採用するステップ・注意点を解説。
インドとミャンマーに挟まれる南アジアの国、バングラデシュ。日本の4割ほどの国土に日本人口の1.3倍ほどの約1億7000万人が暮らしています。アジア最貧国と知られ、洪水など災害の多い地域では現在も貧困世帯が多い一方、主に衣料・縫製産業の著しい発展により近年のGDP年間成長率は7.1%(2022年度、バングラデシュ統計局)。平均年齢27.6歳と若く、厳しい環境で培われたハングリー精神に溢れるバングラデシュ人が、日本で活躍する人材として今注目を集めています。
バングラデシュ人の特徴
基本的なバングラデシュ人の国民性
バングラデシュが置かれている現状
小学校の就学率は97%と高く、国は保険分野にも力を入れている一方で、貧困層世帯の集まる農村部では洪水被害により仕事や住まいを失う人々も多い現状。経済成長が著しいとはいえ、国全体ではまだ多くの問題を抱えています。
参考:ワールド・ビジョン「3分でわかるバングラデシュ ~バングラデシュって、どんな国?~」
厳しい環境が育んだハングリー精神
洪水やサイクロンなど自然災害の被害を受けやすい地域性で培われたためか、ハングリー精神にあふれているバングラデシュ人。若者が多い国特有のバイタリティもあり、異国である日本の仕事にもすぐ慣れることができます。環境への適応力があるためトラブルにもなりにくく、他者と協力する姿勢も働く上での魅力でしょう。
人懐っこく人間関係を重視する性格
上記に関連して、バングラデシュ人は基本的に人懐っこく、フレンドリー。おしゃべり好きで家族を大事にします。お金よりもお互いの信頼関係を大事にし、ドライな付き合いより親密度の高い関係を好む傾向にあります。ちょっとしたプライベートな雑談などから関係を構築できれば、職場に根付くきっかけになるかもしれません。
言語や能力について
公用語はベンガル語ですが、英語が堪能な人材が多く、TOEICの平均点は895点(2014年実績)。他の言語の習得も早い傾向にあります。またインド人と同じく理系に長けた人材が多く、理系・IT系の職場で活躍する姿も多く見られています。
バングラデシュと日本の関係
パートナーシップを結ぶ親日国
バングラデシュと日本は1972年の外交関係樹立以降、友好関係を保っています。2023年4月には、「包括的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」へ関係を格上げ。日本はバングラデシュを世界中で最も多く支援しており、道路や橋、農業、教育、ITなど幅広い分野で支援を行っています。そのため、バングラデシュ人にも親日感情が根付いています。
参考:外務省南西アジア課「最近のバングラデシュ情勢と日バングラデシュ関係」
再び加速しだした日本への就労
実は、バングラデシュから日本への出稼ぎ労働者は1980年代後半をピークに減少傾向にありました。現在も他のアジア諸国と比べて多くはないと言えます。1980年代は日本がバブル期で好景気だったこと、円高傾向が続いて開発途上国との賃金格差が拡大していたことなどが、一時的なバングラデシュ労働者増加の一因です。両国の間に結ばれた二国間協定も、労働者の移動を促進しました。1989年1月に日本政府が査証発給停止に踏み切って以来、徐々にその数は減少しています。
現状、バングラデシュから日本への在留者は、2023年12月時点で27,962人と決して大きな規模とは言えません。ですが、在留資格別で見ると特定技能による在留者数は2021年~2023年間で670%と飛躍的な増加を見せています。技能実習、特定技能と日本側の新しい受け入れ態勢が整えられたことで、再びバングラデシュからの雇用機会が増加し始めました。
人口の過密さに対して国内の仕事量が少ないことから、バングラデシュは世界有数の人材送出国として知られています。国外で働くことが一般的かつ、日本が必要とする若い働き手が豊富なバングラデシュ人材は、今後も日本での活躍の場を増やしていくでしょう。
在留資格 | 2021年(人) | 2022年 (人) | 2023年 (人) | 2021年から 2023年の増加率(%) |
---|---|---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 3,156 | 4,219 | 5,620 | 78.07 |
留学 | 2,664 | 5,276 | 7,231 | 171.43 |
経営・管理 | 398 | 446 | 483 | 21.36 |
技能実習 | 178 | 451 | 1,147 | 544.38 |
特定技能 | 37 | 140 | 285 | 670.27 |
高度専門職 | 68 | 82 | 102 | 50.0 |
定住者 | 555 | 592 | 634 | 14.23 |
永住者 | 3,784 | 3,988 | 4,177 | 10.39 |
総数 | 17,538 | 22,723 | 27,962 | 59.44 |
参考:出入国在留管理庁【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】
日本法務省は、各国との協力覚書(Memorandum of Cooperation, MOC)の作成を通して協力体制の強化をはかり、特定技能制度を推進しています。バングラデシュとも2022年6月11日、在バングラデシュ日本国大使館とバングラデシュ外務省との間で口上書を交換し、「MEWOE(バングラデシュ海外居住者福利厚生・海外雇用省)と日本側の約束」について合意しました。
【MOC概要】
出入国在留管理庁:「バングラデシュに関する情報」
日本国法務省、外務省、厚生労働省及び警察庁は、バングラデシュ海外居住者福利厚生・海外雇用省と協力し、以下の事項等を通じて、特定技能における悪質な仲介事業者の排除に努め、バングラデシュからの有為な人材の円滑かつ適正な送出し・受入れを促進していきます。
・仲介事業者等による保証金の徴収、違約金の定め及び人権侵害行為等の情報を含む、円滑かつ適正な送出し・受入れに資する情報の共有
・本制度の適正な運用に向けて改善が必要となる問題の是正のための協議の実施
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri06_00107.html
特定技能バングラデシュ人の採用の仕方
バングラデシュ人採用の流れ
ここからは、バングラデシュ人を採用するための具体的な流れについて説明します。バングラデシュ人を採用するには、他国の人材と同じく在留資格認定証明書、在留資格変更許可、ビザ発行手続きなどのいくつかのステップが必要となります。大きく分けて、バングラデシュから新たに日本へ呼び寄せる場合と、すでに日本にいるバングラデシュ人を採用する場合で多少プロセスが異なります。
バングラデシュから新たに呼び寄せる場合
送り出し機関を利用するかどうかにより、一部プロセスで手順が異なります。
送り出し機関の利用は任意
バングラデシュでの特定技能採用には、送り出し機関の利用は必須ではなく、直接現地の方とコンタクトを取り雇用契約を締結することが可能です。現地の送り出し機関を利用する場合は、バングラデシュ海外居住者福利厚生・海外雇用省(MEWOE)から認定を受けているなど信用度の高い機関を選定することが重要です。
1.駐日バングラデシュ大使館の認証手続
要求書を駐日バングラデシュ大使館に提出し、認証を受ける必要があります。大使館へ直接提出するほか、郵送・ウェブサイト上での申請も可能です。(申請から認証の交付まで約3営業日、費用無料。)
◆送り出し機関を利用しない場合
要求書と共に、雇用を予定しているバングラデシュ人に係る詳細を添えて提出する必要があります。
◆送り出し機関を利用する場合
要求書の認証を受けたら、送り出し機関側に認証済み要求書を送付します。送り出し機関は、認証済み要求書にバングラデシュ人材雇用研修局データベースから抽出された特定技能バングラデシュ人候補者リストを添えて、MEWOEへ提出。その後、MEWOEから承認レターが届きます。
2.雇用契約の締結
1.のプロセスが完了すると、バングラデシュ人と雇用契約を結ぶことが可能になります。
3.在留資格認定証明書の交付申請
雇用契約の締結後、地方出入国在留管理官署に対し、特定技能に係る在留資格認定証明書の交付申請を行います。証明書が交付されたら、雇用契約を結んだバングラデシュ人へ原本を郵送しましょう。
4.査証発給申請
雇用契約を結んだバングラデシュ人は、上記の在留資格認定証明書を日本国大使館に提示し、特定技能に係る査証発給申請を行います。
5.エミグレーション・クリアランス・カード取得手続き
雇用契約を結んだバングラデシュ人(送り出し機関を利用する場合は、機関担当者)は上記で発給された査証を含む関連書類をバングラデシュ人材雇用研修局に提出し、審査を経たうえでエミグレーション・クリアランス・カード取得します。このカードの取得を持って出国が可能となります。なお、バングラデシュへ一時帰国してから日本へ再度入国する際は再取得は不要です。
日本国内から雇用する場合
すでに日本に在留しているバングラデシュ人を雇用する場合は、プロセスがシンプルになります。
1.雇用契約の締結
採用予定のバングラデシュ人の方と雇用契約を結びます。
2.在留資格変更許可申請
雇用契約を結んだバングラデシュ人が特定技能外国人として就労するためには、在留資格を「特定技能」へ変更する申請を地方出入国在留管理官署に対し行います。
参考:出入国在留管理庁「~特定技能外国人の受入機関の方々へ~バングラデシュ国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ」https://www.moj.go.jp/isa/content/001338532.pdf
採用の際にかかる費用
特定技能採用において、各プロセスごとにかかる費用を把握しておくのも重要です。以下に必要となる費用の概略をまとめます。
在留資格の申請・更新費用
在留資格の申請は出入国在留管理局へあてて行い、無料で申請が可能です。更新時には収入印紙代として4000円を支払います。どちらの場合も、行政書士等にに代行を頼む場合は費用が発生します。日本側企業の状況により確認事項や必要書類が変わるため、専門家への依頼も視野に入れ申請を進めていきましょう。
義務的支援に関わる費用
特定技能労働者を受け入れる企業には、順守すべき義務的支援項目があります。健全な就労・生活環境を確保するため、きめ細やかなサポートと相応の費用が個々の場面で必要となります。
- 事前ガイダンスの実施
- 空港送迎
- 住居に係る支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 公的手続き等への同行
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職に関する支援
- 定期的な面談・通報
給与・福利厚生
特定技能労働者の給与は、同程度の技能を有する日本人と同額か、それ以上の金額でなければなりません。なぜならば、特定技能労働者は技能試験と日本語試験に合格した者、もしくは技能実習2号・3号を満了した者であり、日本人と同水準以上の報酬を求められているからです。
福利厚生についても特定技能労働者は支給対象となります。特定技能労働者であることで福利厚生に差をつけることはできないと規定上でも明言されています。
登録支援機関や人材紹介会社への費用
自力で現地のバングラデシュ人に対して採用活動を行うのは、現地拠点のある企業でない限りかなり労力がかかると推察されます。おススメは、人材紹介会社に依頼して、日本就労を希望するバングラデシュ人とのマッチングをしてもらう方法です。相応の費用は掛かりますが、あらかじめ登録されている人材から選ぶことで安心して採用できますし、その後の義務的支援を含む就労前・就労後のサポートまで行う機関・企業もあります。実務の代行による効率化はもちろん、慣れない外国人採用について相談できることも大きなメリットと言えます。
海外人材採用では手続きの多さに時間が取られて本業務が圧迫されることも少なくありません。専門的サポートを行う企業の手を借りるのも、有用な手段の一つです。
まとめ:バングラデシュ人の特定技能採用の特徴
- バングラデシュからの特定技能採用は近年急速に増加している
- 募集先が日本国外/国内でフローが異なり、国内から募集した方が手続きがシンプル
- 送り出し機関の利用は任意で、直接採用活動が可能
- 人材紹介会社の支援を受けることで効率的に採用できる
【PR】特定技能人材の中途採用はスキルド・ワーカー
2019年に成立した在留資格「特定技能」により、日本国内に外国人人材の受け入れが始まりました。
特定技能で外国人材を採用する企業が着実に増える中、特定技能人材側の転職希望者も増えてきました。
そもそも特定技能は日本人と同等条件での就業が前提。
日本人がごく普通に転職するように、技能人材に転職希望者が出てくるのは自然な流れと言えます。
特定技能人材の転職希望者の多くは仕事に対するモチベーションは高いものの、職場環境とマッチしていないがゆえに活躍し切れていないケースがほとんどなのが現状です。
スキルド・ワーカーは、丁寧なヒヤリングと面談によるマッチングを最も重視したサービス。
特定技能人材の中途採用にも力を入れています。
こんなお悩みのあるご担当者様におすすめ!
・日本国内だと業界的に人材不足が著しい
・募集をかけても経験者の応募がなかなか来ない。
・採用してもモチベーション維持や育成に手間がかけられない
スキルド・ワーカーは特定技能人材の採用マッチングから住居/ビサの手続きなどの受け入れ準備、採用までフルサポートいたします。
特定技能人材の採用をお考えの皆様へ
今まで外国人材を雇用された経験のない企業様も多いのではないでしょうか。
・日本語でのコミュニケーションに問題はないか?
・どのような仕事を任せられるのか?
・どの国の人材が良いのか?
・雇用するにあたり何から始めればよいのか?
…など、様々不安や疑問があるかと思います。
外国人材採用をご検討の方、是非一度お問い合わせくださいませ。
この記事が気に入ったら
いいねをお願いします!
関連記事リンク
-
特定技能在留外国人数【2024年6月末時点】 出入国在留管理庁は、2024年6月末での特定技能1号における在留外国人数は251,747人と発表しました。特定技能制度における5年間の受け入れ人数目標は34万5150人と定められています。国別・業種別の受け入れ人数をまとめました。
-
特定技能「工業製品製造業」|外国人を雇用するために必要な準備・ステップ・注意点とは? 2019年4月に入管法が改正され、新しい在留区分である「特定技能ビザ」が新設されました。全14業種にて特定技能人材を受け入れると発表されていますが、今回は工業製品製造業の特定技能制度について紹介いたします。
-
【特定技能】スリランカ人を採用するステップ・注意点を解説。 インド洋の島国、スリランカ。北海道の約8割に相当する大きさで、自然が豊かな様子から「インド洋の真珠」とも呼ばれています。イギリスの植民地時代にはセイロンという国名だったことからも伺えるように紅茶の生産が盛んで、他の主要産業は農業と繊維業。仏教や主食が米であることなど、日本との共通点も多く見られます。そんなスリランカから特定技能労働者を受け入れるポイントを説明していきます。
-
【特定技能】ネパール人を採用するステップ・注意点を解説。 インドと中国のチベット自治区の間に位置する内陸国、ネパール。国土の約8割が丘陵や山岳地帯で、世界最高峰の山エベレストを含むヒマラヤ山脈があることでも知られています。意外に感じるかもしれませんが、ネパールは日本と同じアジアの国の一つ。世界で唯一、四角形ではない独特な形の国旗は、日本国内に多数あるネパール料理店でも目にしたことがあるかもしれません。遠いようで、実は日本人にもなじみのあるネパールから特定技能労働者を受け入れるには、どのようなポイントがあるのでしょうか。
-
特定技能在留外国人数【2023年12月末時点】 出入国在留管理庁は、2023年12月末での特定技能1号における在留外国人数は208,462人と発表しました。特定技能制度における5年間の受け入れ人数目標は34万5150人と定められています。国別・業種別の受け入れ人数をまとめました。
セミナー情報
-
【オンラインセミナー】 外国人活躍支援サミット~次世代日本人とつくる日本の未来~ 外国人雇用協議会 外国人雇用協議会の創始者・初代会長の故 堺屋太一氏は生前、日本社会で活躍する外国籍の仲間を含む日本人を『次世代日本人』と定義しました。異文化を尊重し合いながら外国籍の方々を仲間としてともに育む日本の社会づくりを目指し、その旗振り役になることを目的に弊協議会は設立されました。 そして弊協議会は、その『次世代日本人』とつくる日本の未来に向けて、①政策提言、②日本社会への情報発信、③外国人への教育推進、を展開しています。 本サミット第1日(10月6日)は、約2,000人以上の外国人雇用やサポートに関心のある方に受講いただき、各分野のスペシャリストが登壇する基調講演・パネルディスカッションから学んでいただく機会を提供いたします。
-
造船・舶用工業分野に係る特定技能外国人受入れに向けた説明会のご案内 国土交通省及び一般財団法人日本海事協会 からの情報を掲載します。 3月に開催される特定技能制度「造船・舶用工業」に関する説明会のご案内です。
-
【一般社団法人建設技能人材機構(JAC) 】建設特定技能外国人制度の説明会 一般社団法人建設技能人材機構(JAC)からの情報を掲載します。 2月~3月に開催される特定技能制度「建設業」に関する説明会のご案内です。
-
2024/11/15
【特定技能】バングラデシュ人を採用するステップ・注意点を解説。
-
2024/10/04
特定技能在留外国人数【2024年6月末時点】
-
2024/10/04
特定技能「工業製品製造業」|外国人を雇用するために必要な準備・ステップ・注意点とは?
-
2024/07/31
【特定技能】スリランカ人を採用するステップ・注意点を解説。
-
2024/07/31
【特定技能】ネパール人を採用するステップ・注意点を解説。
-
2024/04/11
特定技能在留外国人数【2023年12月末時点】
-
2024/01/17
特定技能1号在留外国人数【2023年6月末時点】
-
2023/06/09
特定技能1号在留外国人数【2022年12月末時点】