「第13回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」の内容まとめ
令和8年1月7日、法務省において「第13回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」が開催されました。
本会議では、これまでの議論を踏まえて、「特定技能制度」および「育成就労制度」の基本方針・分野別運用方針の確認や、運用ルールの細かな修正が実施されました。
とくに注目されたのは、制度の受け入れ見込数の制定です。今回の案では、令和11年3月までを視野に、各分野の必要就業者数や就業者数の推計、生産性向上による人材確保相当数などをもとに、分野全体で「1,231,900人」の受け入れ見込数が設定されました。
本記事では、配付資料の内容を基に、会議で議論された内容を詳しく解説します。
「第13回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」で検討された内容
今回の会議では、これまでの議論を踏まえ、以下の点について検討が進められました。
| 検討された内容 | 詳細 |
| 「特定技能制度」および「育成就労制度」の基本方針・分野別運用方針の確認 | 運用方針の細かな修正やルールの設定 など |
| 外国人材受入制度による受け入れ見込数の制定 | 令和11年3月までを視野に、分野全体で「1,231,900人」の受け入れ見込数を設定 |
| 技能実習から特定技能へ移行する際の「地域間での移動状況」の把握 | 転籍制限や大都市圏集中防止の議論は、移行時の地域間移動の実態を踏まえたものであることを確認 |
各制度の基本方針・分野別運用方針について
分野別運用方針(案)は、19分野それぞれに「共通する事項」「特定技能制度についての事項」「育成就労制度についての事項」の3つが整理されています。
各分野とも、人材不足の状況、生産性向上や国内人材確保の取組、受け入れの必要性と見込数、外国人材との共生のための施策などが共通部分に盛り込まれ、そのうえで各制度のルールや運用上の条件が決められています。
本会議では、これまで議論してきた内容や運用ルールを確認・検討し、分野別運用方針に取りまとめられました。
転籍制限期間は「1年」および「2年」で設定
育成就労制度では、外国人材が本人の意向で別の受け入れ先に移る「転籍」(転職)について、一定期間の制限ができます。
基本方針では、転籍制限期間は原則1年とされていましたが、具体的に「1年」および「2年」で分野ごとに設定されました。
| 転籍制限期間 | おもな分野 |
| 1年 | ビルクリーニング、リネンサプライ、自動車整備、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、外食業、林業、木材産業、資源循環 |
| 2年 | 介護、建設、造船・舶用工業、工業製品製造業、飲食料品製造業、漁業 |
※航空・自動車運送業は制度の対象外
2年としている分野では、同一の事業所で技能を習得したり安全衛生教育を受けたりするのに一定の期間が必要であること、介護の場合は利用者との継続的な関係が重要となること、地方で就労を始めた人が賃金の高い都市部へ流出するのを抑制する必要性などが理由として挙げられました。
ただし2年の転籍制限を設ける分野には、有識者からは「1年で技能を習得できるよう環境整備を進めるべき」といった意見も出ています。
政府としては、できる限り1年を目指す取り組みや仕組みの検討を今後の対応として示しています。
漁業分野の監理支援機関の許可基準を再確認
漁業分野では他の分野とは異なる特有の事情があるため、これまでの議論で監理支援機関の許可基準について、特例の設定が話しあわれていました。
育成就労制度では、受入機関に対する監理をおこなう監理支援機関について、「常勤の役職員1人あたり、監理できる実施者の数と外国人材の数」に上限が設けられています。
共通の基準は「8者未満かつ40人未満」ですが、漁業分野での基準は「16者未満かつ32人未満」です。
漁業分野では零細な経営体が多いため、受入外国人材が2人以下の漁業経営体が約半分を占めています。また、海上での作業となる特性上、安全確保のために配乗する外国人材は全乗組員の半分以下に制限されているのです。
これらの理由から、受け入れられる外国人材は、多くても2人程度と考えられています。
ただ、有識者からは「一方的な制限緩和にならないよう留意すべき」との意見もあり、漁業の特性を踏まえたうえで、この範囲を目安とすることが案に取りまとめられました。
バス・タクシー運転者の日本語能力要件設定
自動車運送業のうち、バス・タクシー運転者として特定技能人材を受け入れる場合、日本語能力に関する上乗せ基準が案に取りまとめられています。
具体的には、日本語能力試験(JLPT)のN3以上やN2以上などのレベルが想定されていますが、業務内容によって異なる可能性があります。
もし、特定の業務内容において基準を満たしていない場合は、受入機関が基準を満たすための日本語能力習得の取り組みをおこなうことが必要です。
有識者会議では、乗客の安全の観点から一定の語学力と専門知識が必要であること、地域公共交通の担い手不足を踏まえた見直しであることが議論されました。そのことから、賃上げや国内人材確保の取組の確認、新任運転者研修の理解度を確認する仕組みの構築などが今後の対応として示されています。
物流倉庫分野における管理システムの活用や状況報告
物流倉庫分野では、生産性や労働安全衛生の向上のため、入庫・在庫・出庫の管理機能を持つシステム(またはこれに準ずるシステム)を活用し、その活用状況を協議会に報告・確認することが基準として取りまとめられました。
また、倉庫業者が業務を委託した先の事業者が受入機関となる場合、雇用の継続性を担保するため、業務委託元と委託先が共同で責任を持つ内容の協議書を作成し、取り交わすことが求められています。
外国人材受入制度による受け入れ見込数の制定
分野別運用方針には、特定産業分野および育成就労産業分野における5年ごとの受入⾒込数について示し、⼈⼿不⾜の⾒込数と⽐較して過⼤でないことを示す必要があります。
本会議では、令和11年3月(令和10年度末)までを視野に、各分野の必要就業者数や就業者数の推計、生産性向上による人材確保相当数などをもとに、受け入れ見込数が設定されました。
全体の数値は以下のとおりです。
| 区分 | 受け入れ見込数 |
| 特定技能 | 805,700人 |
| 育成就労 | 426,200人 |
| 全体 | 1,231,900人 |
※育成就労は令和9年4月の開始を前提に、令和9年度から令和10年度の2年間の受け入れ見込数
以下は、分野別の内訳です。(※受け入れ見込数が多い分野を抜粋)
| 分野 | 特定技能 | 育成就労 | 合計 |
| 介護 | 126,900人 | 33,800人 | 160,700人 |
| 建設 | 76,000人 | 123,500人 | 199,500人 |
| 農業 | 73,300人 | 26,300人 | 99,600人 |
| 工業製品製造業 | 199,500人 | 119,700人 | 319,200人 |
| 飲食料品製造業 | 133,500人 | 61,400人 | 194,900人 |
各分野の受け入れ見込数は、「受け入れ見込数=人手不足数-(生産性向上+国内人材確保)」という式で算出されています。
※参照:特定技能制度及び育成就労制度の受入れ見込数について(案)
技能実習から特定技能へ移行する際の「地域間での移動状況」
本会議では、技能実習から特定技能へ移行する際の地域間での移動状況をまとめた参考資料も配付され、データの確認がおこなわれました。

参考資料によれば、令和7年6月末時点の1号特定技能外国人は33万3,123人で、そのうち技能実習から移行した者は14万4,402人(43.3%)です。この14万4,402人のうち、都道府県をまたいで住居地が変わった者は4万7,432人(32.8%)となっています。
つまり、技能実習から特定技能に移行した人の約3人に1人が、移行に伴って県をまたいで引っ越しをしているということです。
転出・転入の内訳を見ると、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の大都市圏8都府県はいずれも転入超過(転入者数が転出者数を上回る)となっています。
一方、北海道や東北、中国・四国・九州の多くの県では転出超過となっており、移行時に県をまたいで動いた人の流れは、地方から大都市圏へ偏っていることが読み取れます。
転籍制限期間を設ける理由の一つには、地方で受け入れた人材が移行後にすぐ転職できると、賃金の高い都市部へ流出しやすいという実態があるためです。
転籍制限や大都市圏集中防止の議論は、こうした移行時の地域間移動の実態を踏まえたものと理解できます。
まとめ
今回の会議で検討された内容をおさらいしましょう。
| 内容 | 詳細 |
| 「特定技能制度」および「育成就労制度」の基本方針・分野別運用方針の確認 | 運用方針の細かな修正やルールの設定 など |
| 外国人材受入制度による受け入れ見込数の制定 | 令和11年3月までを視野に、分野全体で「1,231,900人」の受け入れ見込数を設定 |
| 技能実習から特定技能へ移行する際の「地域間での移動状況」の把握 | 転籍制限や大都市圏集中防止の議論は、移行時の地域間移動の実態を踏まえたものであることを確認 |
分野別運用方針は令和8年1月を目途に閣議決定が予定されており、閣議決定後は、各分野の運用が本方針に沿って進められる見込みです。
すでに外国人材を受け入れている事業者も、これから受け入れを検討する事業者も、閣議決定後の動きを押さえて制度の運用を把握しておくことをおすすめします。
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