【特定技能】インドネシア人を採用するステップ・注意点を解説。
2019年4月に新設された在留資格「特定技能」でインドネシア人の採用をしたいと考える企業は多いようです。
人口は2億6700万人と日本の倍以上で、平均年齢は29歳。性格もフレンドリーな人が多いと言われており、資格職はもちろん、介護、看護など、数多くの業界で人気です。
在留資格「特定技能」での就労が増え、従来よりも即戦力としての採用ハードルは下がっています。2019年6月には日本とインドネシア間で特定技能に係る協力覚書(MOC)が結ばれました。
こうした流れの一方で、特定技能制度を活用したインドネシア人受け入れに関するルールやガイドラインは少々複雑です。また、イスラム教が大半であり、キリスト教主体のフィリピンや仏教主体のタイと少々国民性が異なります。
そこで今回、当サイトでは、在留資格「特定技能」でインドネシア人を採用するメリットと、手続きのステップ・注意点を解説します。
在留資格を取得しているインドネシア人
資格ごとの在留数
インドネシアは現在、アジアの中でも発展が著しい地域と言われています。2022年には経済成長率が前年の+5%となるなど、順調に成長しています。その理由は旺盛な内需にあります。輸出に頼らずとも、国内に雇用があり、旺盛な消費があり、また各種産業の発展があり、現在は国内の人口増加や最低賃金上昇で発展してきました。
一方で首都ジャカルタと地方都市では賃金格差も大きく、日本とインドネシアの地方都市を比較すると20倍近くの差があります。そのため日本に「出稼ぎ」に来るインドネシア人も少なくありません。
令和4年度末の調査では日本国内に在留するインドネシア人は、10万人弱でした。ベトナムやフィリピンに比べると規模は小さいですが、来日インドネシア人のうち半分弱が技能実習生で、その数は4.5万人を超えます。
特定技能制度は、技能実習2号を良好に終了することで試験の一部が免除されるため、安定した技能実習生の来日は良好な採用ルートになっていく可能性があります。
また、永住・定住などで在留するインドネシア人口も1万人程度おり、内訳は下記の通りです。
【日本人の配偶者等】 2,387人
【定住者】 2,528人
すでに多くのインドネシア人が国内で生活・就労していることがわかります。
参考:出入国在留管理庁「令和4年末現在における在留外国人数について」、「【第1表】 国籍・地域別 在留外国人数の推移」
特定技能インドネシア人を採用するメリット
インドネシア政府が積極的
インドネシア政府は、特定技能資格で日本へ渡航する目標人数を、2023年までに7万人と設定しています。日本へ渡航し帰国した技能実習生およそ6万1000人を中心に、留学生、経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士などの渡航を見据えています。また新規労働者の送り出しも想定します。
参考:じゃかるた新聞 「20年までに2万2000人 試験は10~11月の意向 特定技能」
現在でも2万人ほどがいる技能実習生や、2008年から開始された介護EPAなどで就労経験のある人材が多いのもインドネシア労働者の特徴です。
平均年齢
また、インドネシア人の若さも採用における魅力です。外務省のインドネシア共和国基礎データによると、インドネシアの人口は2.7億人、平均年齢は29歳(日本は48.9歳:2020年)でした。
さらに生産年齢人口(15~65歳)が1億7000万人おり、2030年には2億人を超える見込みです。またこの生産年齢人口が他の年齢層と比べてより高い比率となる「人口ボーナス期」は2040年まで続くと予測されています。
親日的
東南アジア全体に当てはまることですが、インドネシアでは日本の歴史や観光地など伝統的なものから、漫画、アニメといったサブカルまで幅広く愛されています。また2006年から高校で第二言語の履修が必要になった折、日本語が選択できるようになったため、2021年には71万人のインドネシア人が日本語を学んでいます。
日本での留学生の数も、過去10年ほどだいたい上位10カ国のどこかでインドネシアがランクインするほど、日本に対して学ぶ姿勢を持っている国と言えます。
採用する際の注意点
採用フローにおける注意点
インドネシア人採用において気をつけるべきは、受入れ機関も求職者(特定技能人材)も「IPKOL」というサイトに登録することが推奨されている点でしょう。
このウェブサイトの管轄はインドネシア政府で、国民に対しこちらへの登録を強く推奨しているため、求職者とのマッチングを計りやすくなります。
技能実習を行っていた時と同一の雇用主に再雇用される場合等はIPKOLへの登録は不要です。またインドネシアは、ベトナム人やフィリピン人の場合と異なり、特定技能人材は現地の送り出し機関を経由しないため、手数料を払う必要がありません。
また、特定技能人材はSISKOTKLN(海外労働者管理サービスシステム)の登録が必要です。マッチングが成立し、日本の受け入れ企業との契約が成立した場合、受け入れ機関は手続きをすませ「在留資格認定証明書」をインドネシア特定技能人材に送付します。このタイミングでインドネシア特定技能人材はSISKOTKLNへの登録と、インドネシア日本国大使館に対してVISAの申請を行います。
文化における注意点
システム面とは別に、英語力についても留意が必要となります。インドネシアでの英語力は日本と同程度と言われており、接客などで英語を必要とするシーンがある場合、英語スキルを改めて身につけてもらう必要が生じるかもしれません。
またインドネシアではイスラム教が9割を占めており、無宗教のベトナムやカトリック教主体のフィリピン、仏教国のタイとは国民性が多少異なります。イスラム教徒である社員のために、企業のオフィス内や工場内にお祈りができる場所を用意するなどの配慮が必要です。
採用の際にかかる費用
教育・訓練費用
他国と異なり送り出し機関はなく、手数料の不要なIPKOL経由での採用が可能なため、インドネシア人の特定技能人材はベトナムやフィリピンと比較すると低コストでの採用が可能です。
渡航費用
フライト料金などの渡航に必要な費用は、受け入れ企業や人材紹介会社などの日本側の負担になる場合があります。送り出し国の法令やガイドラインを確認し、特定技能人材とも協議の上、決定することをお勧めします。
在留資格や入管手続きなどにかかる費用
必要書類もかなり多く複雑です。外部の企業に委託することなどを考えると15から25万円ほど必要になります。更新も必要となるので、注意が必要です
特定技能人材の採用ルートと流れ
インドネシア から来日する場合(元技能実習生、特定技能試験合格者)
インドネシア人の来日採用には、先述のサイトであるIPKOL活用が必須になります。求職者は基本的に、語学(日本語)と特定技能分野に準じた技能試験が必要です。ただし、現在すでに技能試験2号を良好に修了している場合、技能実習2号から特定技能へ移行することができます。
そのため、例えばすでに受け入れている技能実習生を引き続き特定技能人材として受け入れる場合や、過去に受け入れていた技能実習生を再び呼び戻し特定技能人材として受け入れるケースが考えられます。
入国までの手続きと並行して、支援義務のある「事前ガイダンス」「健康診断」の実施を行います。これは登録支援機関へのアウトソーシングが可能です。
また、入国前に生活オリエンテーション、住居の確保や口座の開設、携帯の支給など、支援計画を定めてスムーズな就労開始ができる環境を整えましょう。
すでに日本にいる場合(技能実習修了者、留学生)
日本国内で就業意欲のある外国人技能実習生を受け入れる場合は、国内で資格取得試験を受けてもらうことも考えられます。日程調整やパスポート、航空券の手配等で手間は比較的かかりますが、試験を経て特定技能人材に日本や職場を理解してもらいやすく、海外の現地試験よりも就業後のミスマッチは少なくなるでしょう。
インドネシア人特定技能人材のうち国内に在留している方に関しては、移住労働者証手続きが必要になります。JITCO(国際人材協力機構)の説明では、
引用:JITCO『在留資格「特定技能」とは』
としています。この推薦状をもって、地方出入国在留管理局に在留資格の変更許可申請を行い、許可が降りたら就労可能となります。
活用例としては「技能実習で来日した人材」や「日本に留学している留学生」に特定技能の試験を受けてもらい、資格取得支援を行う方法が考えられます。
留学生であれば、語学力の心配が少なく接点も多くなるでしょう。
また、現在在留している、技能実習2号以降修了者予定者の中で、より長期にわたって就労を希望する人材は特定技能への移行がスムーズなため、お勧めです。
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2019年に成立した在留資格「特定技能」により、日本国内に外国人人材の受け入れが始まりました。
特定技能で外国人材を採用する企業が着実に増える中、特定技能人材側の転職希望者も増えてきました。
そもそも特定技能は日本人と同等条件での就業が前提。
日本人がごく普通に転職するように、技能人材に転職希望者が出てくるのは自然な流れと言えます。
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