特定技能「飲食料品製造業」|外国人を雇用するために必要な準備・ステップ・注意点とは?
特定技能「飲食料品製造業」とは
概要
特定技能「飲食料品製造業」は特定技能の中でも飲食料品の製造に特化した分野です。
特定技能としては「外食業」による資格も先行して運用が進んでいますが、「飲食料品製造」はそれに続く分野であり、受け入れ人数も特定技能の中で最大の人数になっています。
特定技能「飲食料品製造業」受入れ人数
2019年月以降の5年間で最大3万4000人の受け入れを予定していましたが、2022年の見直しによりその人数は8万7200人にまで大幅に増加しました。こちらは令和6年3月までの受入れ人数となります。
そして新たに令和6年4月から5年間の受入れ見込み人数としては13万9000人とされており、なお一層の拡大が見込まれます。
特定技能「飲食料品製造業」 受入れ可能な人材
大きく分けて2パターンあります。
①以下の試験に合格した者
▶技能水準(試験区分) 「飲食料品製造業技能測定試験」
▶日本語能力水準 「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」
※詳しい試験内容はこちら。
②飲食料品製造業分野の第2号技能実習を修了した者
特定技能「飲食料品製造業」の業種・業務
飲食料品製造業の特定技能1号外国人は、 飲食料品製造業全般(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生 を行うことができます。
また、上記の業務を行っている日本人が通常従事することとなる関連業務に対し、特定技能人材が不随的に従事することは問題ないです。関連業務とは 原料の調達・受入れ、製品の納品、清掃、事業所の管理の作業等を指します。
具体的には「日本標準産業分類」での下記7分類に該当する事業者が行う業務が対象です。
(2)清涼飲料製造業
(3)茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
(4)製氷業
(5)菓子小売業(製造小売)
(6)パン小売業(製造小売)
(7)豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
上記(1)食料品製造業は下記業種とされています。
○畜産食料品製造業
○水産食料品製造業
○野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
○調味料製造業
○糖類製造業
○精穀・製粉業
○パン・菓子製造業
○動植物油脂製造業
○その他の食料品製造業
(でんぷん、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品等)
また、飲料製造業である上記(2)(3)には「酒類」の製造業は含みません。
菓子・パンについては、食料品製造業だけでなく、上記(5)(6)として製造小売も含んでいます。
菓子小売業(製造小売)は菓子を、パン小売業(製造小売)はパンを製造しその場所で小売する業です。
全体として「酒類」や「塩」の製造以外の飲食料品製造全般が含まれることになります。
特定技能所属機関(受入れ企業)の要件
特定技能所属機関とは外国人労働者と直接雇用契約を結ぶ企業です。
つまり、外国人労働者を募集・採用し雇用する事業者です。
特定技能所属機関へは、下記の条件が課せられています。
○ 特定技能所属機関(=受入れ事業者)に対して特に課す条件
農林水産省「 飲食料品製造業分野における 外国人材受入れ拡大について 」https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/kyougikai.html
ア 特定技能所属機関は、農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他の 関係者で構成される「食品産業特定技能協議会」(以下「協 議会」という。)の構成員になること。
イ 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
ウ 特定技能所属機関は、農林水産省又はその委託を受けた者が行う調査等に対し、必要な協力を行うこと。
エ 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実 施を委託するに当たっては、上記ア、イ及びウの条件を全て満たす協議会の構成 員となっており、かつ、農林水産省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。
上記の通り、特定技能所属機関は、「食品産業特定技能協議会」に加入して、同協議会に対し必要な協力を行わなければなりません。
食品産業特定技能協議会は、農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他の関係者で構成されます。
また、特定技能所属機関は、雇用した外国人労働者に対して一定の支援施策を行わなければなりません。
自力での支援計画策定などが難しい場合は、登録支援機関に支援計画の実施を委託する必要があります。
登録支援機関も食品産業特定技能協議会の構成メンバーです。
なお、各特定技能所属機関の受け入れ人数は、技能実習と違い特に制限はありません。
建設と介護に関しては分野別運用方針による制限がありますが、特定技能「飲食料品製造」については無制限です。
特定技能人材の雇用形態
雇用形態は直接雇用です。 派遣雇用は認められていません。
報酬
日本人と同等な報酬を支払います。
もちろん、能力による調整は可能ですが、外国人だからと報酬を低くすることはできません。
また、雇用に先立ち受け入れ企業は「特定技能外国人の報酬額が日本人の報酬と同等以上であることの説明文書」を作成してこれを外国人労働者に示す必要があります。
日本人と同等とは、日本人に対する賃金規定がある場合はそれを適用するということです。そうした賃金規定がなかったり、日本人が働いていない職場では、その地域の同様な業者における報酬が参考にされることになります。
特定技能試験の内容
特定技能「飲食料品製造業」資格を取得するための試験は下記2種類となります。
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」
「飲食料品製造業技能測定試験」の試験の内容は飲食料品製造業分野における業務を行うのに必要な能力を持っていることを確認する試験です。
具体的には下記を確認するものです。
・食品等を衛生的に取り扱い、
・飲食料品の製造・加工作業の業務について、特段の育成・訓練を受けることなく、直ちにHACCPに沿った衛生管理に対応できる専門性・技能を有すること
後述のように学習用テキストが公開されており、問題はその中から出題されます。
このテキストの内容(章立て)は以下の通りです。
――――――――――――――――――――――――――――
第1章 食品安全、品質管理の基本的な知識
第2章 一般衛生管理の基礎知識
第3章 製造工程管理の基礎知識
第4章 HACCPによる製造工程の衛生管理に関する知識
第5章 労働安全衛生に関する知識
――――――――――――――――――――――――――――
基本的に「飲食料品の製造工程で衛生管理ができる人材」としては下記が求められる条件です。
▶主な食中毒菌や異物混入に関する基本的な知識・技能→食中毒菌の繁殖防止や殺菌の方法について正しい知識を身につけ、適切に対応できる。
▶ 食品等を衛生的に取り扱う基本的な知識・技能→原料の選別・洗浄から製造・保管までの間、食品を常に衛生的に管理できる。
▶ 施設設備の整備と衛生管理に関する基本的な知識・技能→施設内外の清掃・点検を的確に行い、施設設備の衛生状態を良好に管理できる。
さらに、平成 30 年の食品衛生法改正により、令和3年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組むことになりました。
食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です[i]。
過去問題は公開されていませんが、例えば、食中毒に関して、前記テキスト「第1章 食品安全、品質管理の基本的な知識」の記載内容から
Q:「毒素型食中毒の原因となる細菌は次のどれか?
(a) 腸炎ビブリオ (b) ボツリヌス菌 (c) ノロウイルス
といった問題を想定することができます。
試験は、日本国内および海外で行われ、日本国内試験は日本語、海外では現地語で行われます。方法はコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式です。
学習用テキスト
一般財団法人食品産業センターのサイトからダウンロード可能です。
・日本語版
・英語版
・中国語版
・ベトナム語版
・インドネシア語版
・ミャンマー語版
・カンボジア語版
のテキストが用意されています。
受験資格
在留資格を持っており、
試験実施時に17歳以上であることなどが条件です。
国内試験について
申込・詳細は一般社団法人 外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)のサイトに記載されています。
国外試験について
フィリピン、インドネシアで実施されています。2023年9月以降の各試験実施月の予約開始日程、試験実施日については、決まり次第OTAFFのHPで公表されます。
詳細はこちら。
詳しい試験情報はこちら。
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